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ダブ名盤 Fishmans フィッシュマンズ
『 “10年くらいしたら、僕も何か変われるかな?と思ったけど、 やっぱりいろいろあるな”っていう歌です。』そういって始まる"in the flight"。(アルバム『男たちの別れ』より)来年はレコーディングとかして、ライブもやって、また一からやり直そうって思ってます。。。そう言っていたのに、彼はその直後僕らの目の前から消えてしまった。ただなんとなく始まったものの終わり方としてはこの上ないほどの裏切り方での終わり。ファンにとって1997年という年に格別の焦燥感を与えたとも言えるあの事件から、もう6年。なぜか突然ベスト版の発売もあり、外資系ショップなどでも特集されているフィッシュマンズ。佐藤伸治がこの世を去ってからもただなんとなく続く世界へのベストになれるのか。まずはナイトクルージング、8月の現状、男たちの別れ、聴いてほしい。
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アルバム名 コメント
ゆらめき IN THE AIR ロングシーズン以来の世界観を確実に表現しながらも、フィッシュマンズ最後の新曲となってしまった1曲約14分の超大作、かつラストシングル。ある景色の最果ての様な雰囲気もあり、そしてまたここから何かが変わり始めるような予感をも抱かせた作品でもある。この何とも言い表しようの無い曖昧さがこの曲最大の不思議な魅力になってはいる。その先にあったものが何であったか知るすべもないが、やはりこの先にあるものを見てみたかった。
LONG SEASON シングル『Season』のロングバージョンだから『Long Season』というタイトルなのだが、内容はそんな単純なものではなく、長さ35分の1曲だけが収録されたアルバム。 彼ら風にいえばまさしく「風邪薬でやられちまったみたいな」、「半分夢の中」のような幻想的で圧倒的な世界が展開。聴いているほうも半分、夢の中にいるような気分にさせられる作品だ。コーラスにはUAとマリマリが参加。録音、ミックス、およびメンバーと共にプロデュースを務めたZAKの功績も大きいだろう。聴くものの世界観までを包み込む圧倒的な音の世界、音楽というものに対する挑戦とも取れる作品。音だけでこの世界観を作れるバンドを失ったショックは今でもあまりにも大きい。
ナイト・クルージング 不思議な気持ちになれる曲。かなりのアンビエント風曲調、あまり意味の感じられれない歌詞、イントロから洪水のようにあふれるギター、エンディングでは別の洪水となってあふれ出してしまうフィードバック。どこをとってもフィッシュマンズ最高の作品のひとつであるといっても過言ではないのではないだろうか?夏の夜、人気の無い都心を一人で歩いている感じ。
8月の現状 日比谷野外音楽堂でのライヴ。まだ少し暑さの残る、そんな季節の狭間で行われたフィッシュマンズの“野音”での空気感が一瞬にして甦る。音の洪水により周囲を飲み込む感覚が、その音源を元にスタジオでremixした傑作。同じコンセプトの「Oh! Mountain」に共通しその時点でのフィッシュマンズの現状報告的な1枚。特にこの『8月の現状』前後のライヴにおいて過去のレパートリーもアレンジが刷新されて全く新しい世界観を作り出していた事もあり、それを「記録」として鑑賞に耐え得るクオリティで残した良作。特に、“JUST THING”はようやくここで本来のあるべき姿を現したかの様な思いがする。
’98.12.28男達の別れ ベースの柏原 譲の脱退に伴う『男達の別れ』ツアー最終日、98年12月28日の赤坂ブリッツでのライヴを記録した2枚組。翌年3月の佐藤伸治の突然の死によって、フィッシュマンズとして事実上最後のライヴとなった貴重な音源であり、内容も彼らの集大成にふさわしいすばらしいものになっている。 ミックスを駆使したライブ盤『8月の現状』と違い、ライヴをほぼそのまま収録した音ながら、完璧な演奏を聴かせる圧倒的な技量。特にDisc2<3>など、音だけでこれほど美しい世界を表出させる才覚には驚くばかり。帰らぬ無二の才能が惜しまれる。